はじめに
以前、Chocolatey Software社の方とのやり取りの中で、「リポジトリサーバはChocolatey Serverではなく、Sonatype Nexusを推奨します。」と教えてもらいました。
Chocolatey Serverの場合、1サーバにつき1リポジトリまでという制限があり、社内で複数のリポジトリを用意したいと思っても、リポジトリの数だけ仮想マシンが必要になるのでリソースを多く消費してしまいます。
(もちろん、Chocolatey for Business(以下C4B)のライセンスもリポジトリサーバの数だけ多く必要になります)
ところが今回紹介するNexusリポジトリマネージャの場合、複数のリポジトリを1つのサーバ内に同居させられるため、上記のデメリットが解消できることが分かりました。
今回は、このNexusリポジトリマネージャとC4Bについて解説していきます。
リポジトリサーバの必要要件
- Windows Server 2012 以降 (推奨: Windows Server 2016)
- 4以上のCPUコア
- 16 GB以上のRAM
- ローカルアーティファクトストレージ用に1 TBの空き容量
※パッケージの量が少なければ1TB未満で問題ないです。
Nexusリポジトリマネージャのインストール方法
1.あらかじめC4Bをインストールしておきます。また、C4B購入後の案内メールから、「chocolatey-nexus-setup.0.1.0.nupkg」をダウンロードし、「C:\choco-setup\packages」にコピーしておきます。
2.以下のコマンドを管理者権限で実行したPowershellで順に実行します。
PS> choco install nexus-repository -y --version 3.21.1.01
PS> choco install chocolatey-nexus-setup --source="'C:\choco-setup\packages'" -y
PS> choco uninstall nexus-repository -y
PS> choco install nexus-repository -y
3.ブラウザで「http://localhost:8081」にアクセスし、初回ログインを行います。初回パスワードは「C:\ProgramData\sonatype-work\nexus3\admin.password」にあります。
4.初回ログイン後、パスワードの変更を求められますので変更します。
5.匿名アクセスをEnableにしておきます。
部署ごとにリポジトリを作成する
では、リポジトリを作成します。
1.adminユーザでログインしている状態で、上部歯車アイコンをクリックします。
2.左メニュータブの「Repositories」をクリックし、「+Create repository」をクリックします。
3.TypeはNuget(host)を選択します。
4.リポジトリ名を入力し、Deployment policyを「Allow redeploy」にし、Create repositoryをクリックします。これでリポジトリが作成されます。
リポジトリにパッケージを格納する
では、作成したリポジトリにパッケージを格納していきます。まずは肝心のパッケージを落とすところから始めていきます。
1.部署内で利用するパッケージリストを作成する。
参考までに、以前弊社で作成したものはこちらです。
adobereader, anaconda3, awscli, docker-cli, docker-desktop, docker-kitematic, gimp, git-fork, git.install, golang, googlechrome, inkscape, kindle, miniconda3, python, rdcman, ruby, ruby2.devkit, rufus, rust, sakuraeditor, screentogif, shrewsoftvpn, sizer, teraterm, terraform, vagrant, vim, vmware-powercli-psmodule, vscode, winmerge, winscp.install, wireshark
2.C4BのPackage Internalizer機能を使って、パッケージをローカルにダウンロードします。管理者権限で実行したPowershellで以下を実行します。(パッケージ名同士を半角スペースで区切ること)
PS> cd C:\choco-setup\packages ; choco download --recompile --force adobereader googlechrome kindle sakuraeditor teraterm vagrant vim vscode winmerge winscp wireshark
3.リポジトリにパッケージをPushするために必要な、API-Keyとリポジトリのパスを取得します。右上のadminアイコンをクリックします。
「Access API Key」をクリックします。
これをメモ帳あたりにコピペしておきます。
リポジトリのパスは、リポジトリ一覧の右側「copy」から取得できます。
4.パッケージをリポジトリに格納します。管理者権限で実行したPowershellで以下を実行します。
PS> Get-ChildItem "C:\choco-setup\packages\*.nupkg" | Foreach-Object { choco push $_.FullName --source="'http://localhost:8081/repository/<リポジトリ名>/'" -k="'<api-key>'" --force }
以上で、内部リポジトリが1つ作成できました。
もし例えば経理部向けのリポジトリを新設したくなったら、Nexusリポジトリに「keiri(例として)」リポジトリを作成し、choco pushする際のパス中の「soumu」を「keiri」に置換すれば、今度は経理課向けのリポジトリが簡単に作成できます。
Chocolateyのソースを変更する
最後に、クライアント端末にインストールされているChocolateyのソースを変更する必要があります。
これは管理者権限が必要な作業のため、もしクライアント端末が多い場合には、Ansibleなどで自動化するのがよいと思います。
今回は手動で行います。
1.管理者権限で実行したPowershellで以下を実行する。
PS> choco source disable -n="chocolatey"
PS> choco source add -n="<任意の名前>" -s="http:<Repogitory Server IP>/repository/<リポジトリ名>/"
これで、クライアント端末では、総務部用リポジトリ内にあるソフトウェアのみインストールできるようになります。
おわりに
今回は、C4BとNexusリポジトリマネージャとの連携について解説しました。
最近C4Bでは、さらにJenkinsやCCM Deploy(近日公開)などを組み合わせた、ソフトウェア管理方法を公開しています。
URL: https://chocolatey.org/docs/quick-deployment-environment
これについては、また別の記事で紹介しようと思います。
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